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HDDケースのコンデンサ交換 [ハードディスク]


とある場所で使われている、東芝製のUSB外付けハードディスク(HD-EF20TW)が壊れた。

使用時間は買ってから壊れるまでの約3年半で1000時間にも満たないはず(普段取り外していて使う時だけ接続していた)で、壊れるには早いのではないかと思う。


データのバックアップはあったので、持ち主と話して復旧するために中身だけ交換して使おう、という事になったが、一度は中身のハードディスクが壊れたケースである。

ハードディスクの故障に大きな影響のある電源が心配なので、ケースをバラしてUSB⇔SATA変換基盤のコンデンサを見ると、台湾の「CapXon」というメーカーの電解コンデンサが使われていた。

TUH_cbfb.jpg

「CapXon」自体はそれほど悪いメーカーではないようだが、問題はコンデンサのグレード。パッケージのシュリンクチューブは小さいほうが黒地に白文字で、大きい方が高級感ある緑色に金文字。小さい方は見るからにグレードが低そうだ。

パッケージの印刷を読むと、小さい方(直径6.4mm x 高さ7.5mm)が16V 220μF、大きい方(直径6.4mm x 高さ11.2mm)が16V 100μF。

小さい方は容量の割りにあまりにも小型だ。一般に小型の電解コンデンサは、それよりも大型の同じ電圧・容量の物と比べて寿命が短い。問題があるとしたらコレか。

外してSMDテスターで容量を測ると、やはり小さい方は202.4μFと容量抜けが起きていた。

TUH_cap.jpg
容量が表記の220μFよりも1割近く減って202.4μF。誤差の範囲とは思えない。

容量抜けを起すほど劣化したとなれば、ハードディスクが壊れたとしても不思議ではないと思った。


そこでコンデンサを二つともOSコンに交換。

TUH_cafb.jpg

これで再利用した時にハードディスクがより安定して動作し、寿命も長くなるだろうか。

コンデンサ交換後、テスト用の壊れても問題ないハードディスクと接続して動作確認すると、とりあえず正常に動作しているようだった。


それにしても、東芝製という事で一定以上の信頼性があるかと思えば、中身はお粗末だったという現実。

もちろん変換基盤は中国のOEMメーカー製だと思うが。

OSコンを使えとまでは言わないが、せめて2個ある内片方だけ安物を使うなどという、ケチ臭い事をするなと言いたい。(使う部品を決めたのが東芝かOEM先か知らないが、いずれにせよ東芝の責任だ)

こんな事では日本のモノ作りも凋落するワケである。


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HDDおみくじとやらを引いてみた [ハードディスク]


最近は、なにやら「HDDおみくじ」なるモノがあるという。

調べてみたところ、Western Digital(以下WD)製外付けHDD(容量8TB)を買うと“ヘリウム入りHDD”が入っている場合があるらしい。

というワケで私も引いてみた。

購入したものは「WDBWLG0080HBK-NESN」。

届いたので分解してみると・・・当り!

入っていたはHDDの型番は、ヘリウム入りのWD80EMAZ-00WJTA0であった。

ハズレの場合はWD80EMAZ-00M9AA0という通常タイプのモノになるらしい。

wd80emaz1.jpg
購入したWD製外付けHDDの中身はWD80EMAZ-00WJTA0が入っていた。


さて、「HDDおみくじ」で当りを引いた、という事でこの話はおしまいだが。

WD80EMAZ-00WJTA0という型番のHDDに心当たりが無いので、気になって調べたところデータシートが無い。

情報といえば先人達によるおみくじの報告ばかりで、このハードディスクに関する公式な情報をみつける事は出来なかった。

Webの検索で判明した事は

・5400回転のヘリウム入り
・SATA電源コネクタに3.3Vが供給されていると起動しない

と、この程度。
他は推測の域を出ない不確定情報がほとんどで、記録方式がCMRかSMRかも判らなかった。


一方私自身で確認したた事は

・音が静かで発熱も少ない
・シーク動作が無い状態でも微細な振動が意外と大きい

この2点のみ。

音や発熱に関しては、ヘリウム入りHDDの特徴として宣伝されている通りのもの。

微細な振動が大きな点については他のヘリウム入りHDDを知らないので、この機種特有のものか、単なる個体差なのかわからない。

しかし、この振動の大きさはとても気になる。

ケースから外して内蔵用として利用したいのであれば、3.3Vの件も含めて対策が必要かもしれない。



というわけで、今回の「HDDおみくじ」だが。

海外で買うか、国内で買うかで値段が違うので、手間と不安があっても安い海外を選ぶか、簡単で安心だが高価な国内を選ぶかは買う者次第。

単に8TBのハードディスクが欲しいだけならば、国内でも内蔵用を買えば安く手に入る。

が、ヘリウム入りのハードディスクは消費電力が少なく信頼性も高いというプレミアムが付くので、これが比較的安価に手に入る「HDDおみくじ」は興味があればやって損は無いかもしれない。(ハズレを引いた場合は明らかに損だが)


ちなみに私は過去の記事で、HGSTやWDのヘリオシールは筐体とフタのシールがパッキンとネジ止めだ、と書いていたが間違いだった。

実物を手に入れて観察したところ、筐体とフタの境目はしっかりと溶接されている事を確認。

認識を改めると共に、記事の修正も行おうと思う。

wd80emaz2.jpg
フタと筐体の間にはスキマがなく、はっきりと溶接のビードとスパッタが確認出来る。

まあ、ネジ止めだけでのシールが如何に難しいか、記事中に自ら書いていたわけだが。

HGSTの技術力を、自分勝手な妄想で過大に評価していたようだ。



東芝のヘリウム入りHDDはHGSTの「HelioSeal」採用か?
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04-1



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CMRなHDDがどんどんなくなっていく [ハードディスク]

WD、256MBキャッシュ搭載のWD Blueシリーズ新6TB HDD
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1170883.html

これまでWestern Digital製の一般向けハードディスク「WD Blue」は、2TB(型番の後ろ半分がEZAZの機種)がSMRであり、6TB(型番の後ろ半分がEZRZの機種)はCMRだった。

しかし今回の発表により、6TBもSMRに切り替わる事が判明した。
(今の所「WD Black」は全てCMR)

判明した、といっても、これは既に業界内では既定事項だった事だ。

従って今後さらに容量の大きな機種にまでSMRへの切り替えは拡大していく。

実際既にSeagateは一般向けのBallacuda(3.5inch)やFirecuda(2.5inch)は全ての機種がSMRで、CMRはNAS向けのIronWolfのみである。

そして今後は7500rpmのハイパフォーマンス機種やNAS向けなども順次SMRになっていくだろう。


このように元々アーカイブ向けハードディスク用として開発されたSMRが、一般向けのハードディスクにまで浸透してきた事には理由がある。

それは、SMR特有のランダム書き込みが非常に遅い問題が新しい技術によって軽減されつつあるからだ。

その技術とは、具体的にはSeagateの用語で言うと「メディアキャッシュ」というものと、それを活用する書き込みアルゴリズムである。

メディアキャッシュとはSSDのQLC NAND採用機種で使われるSLCキャッシュのようなもので、記録メディアの領域を部分的に違う使い方をするものだ。
ハードディスクのSMRの場合、メディアキャッシュ領域はSMRではなくCMRによる書き込みとなる。

恐らく最外周の一部分がCMRによる書き込み領域に割り当てられていて、この部分は頻繁にランダム書き込みが行われるMBRやインデックス領域と、メディアキャッシュに使われる。
従ってSMRの領域は2TBのハードディスクであれば1.6TBなどのように減っているため、容量一杯にデータを書き込むような場合にはQLC NANDを使うSSDのように挙動が変わって来ると思われる。

ただSSDの場合と違うのは、CMR領域はSMR領域として再利用出来ないだろうという事。
何故ならトラック幅が物理的に違うからだ。
これを変えるとなると物理フォーマットからやり直す必要があるはず。
なので、メディアキャッシュ領域はSMR領域が食いつぶされた後、それ以上の書き込みがあればそのままCMR領域に書き込みが行われると私は想像する。
つまりSSDのようにSLC領域の分書き込み領域の容量が減っているわけではなく、メディアキャッシュ込みでハードディスクの全書き込み容量となるはずだ。

メディアキャッシュの話が長くなった。
要はハードディスクへランダム書き込みが行われると、まずメディアキャッシュにデータが書き込まれる。
そしてアイドル時に順次SMR領域にデータの移動が行われる。
こういう書き込みプロセスを経る事で、ランダム書き込み時の速度低下を抑えるという仕組みである。

また、シーケンシャル書き込みの時は書き込まれるデータの量だけCMR領域に、データの存在しないブロック(≒複数のトラックを束ねたもの)の空き領域があればそこに直接書き込まれるようである。


まあそんな感じで、普通の使い方をしている限りほとんどの場合でSMRのデメリットを体験する機会は無いらしい。

ただしベンチマークソフト等でランダムアクセステストをすると、かなり酷いことになるらしいが。
逆にそんな使い方はまず無いのが普通だという事だろう。


いずれにせよ、今後普通に店で買えるハードディスクは全て、SMRになっていく運命だ。
どうしてもCMRなハードディスクでなければ使いたくない人は、今の内に買って置く事をお勧めする。



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修理再生品のNASを買った [ハードディスク]

昨日NASの値段を色々調べていると、エレコムの法人向けNAS「NSB-5A4T1BL」約2万円(表示は新品、他店は6万円以上が普通)という激安で売られているのを発見した。

売っていたのはアマゾンで、過去の経験から色々引っかかる所があるが購入してみた。
nas_ama.png
画像の価格は3万円ほどになっているが、私が買った時は約2万円だった。


そして今日品物が到着したので、梱包を解くと早速違和感が。

箱のラベルが2重に貼られていて、下になっているラベルの文字が透けて見える。
写真ではわかりにくいが、元々1TBモデルのラベルが貼られていたようだ。

nas_label.jpg
貼られていたラベル。写真ではわかりにくいが、下に1TBモデルのラベルが貼られている。

あーこりゃもう再生品だな、と思って箱から出す前に分解する事を決意。(値段から半ば予想していた)

箱から出すと付属品等は新品が入っているが、本体は良く観察すると背面のファンに埃が付着していて、付着の具合から数ヶ月から1年程度は稼動していたモノであると推測された。

nas_fan.jpg
写真はファンを取り外して撮影。左が取り外した直後、右が清掃後のもの。


分解すると中身は再生品らしくきれいで、この手の中古品なら大抵あるはずの綿埃なども無い。
そして写真は撮っていないが、部品を固定するねじには赤いマジックペンでチェックマークを付けられていた。こういう所も再生品らしい。

nas_ht.jpg
CPUに取り付けられていたヒートシンクも、一度外した痕跡(サーマルパッドが一部剥がれている)が残る。

メイン基盤を見ると、安物NASではあり得ない高級感漂う作りである。
さすがは法人モデル。

nas_kiban.jpg
NSB-5A4T1BLのメイン基盤。法人向けモデルは安物とは違う。

CPUはAL21200という型番で公表されている通りのものか。メインメモリはマイクロンのDDR3 2Gbit品が4個で1GB、これも公表通り。

そして一番気になっていたのはファームウェアの場所。安物はハードディスクにインストールするが、高級品は内蔵のフラッシュメモリにインストールしている。

そこでNAND Flashのチップを探すと「MX30UF4G18AB-XKI」が見付かった。これはMACRONIXという会社のSLC品で4Gbitの容量を持つチップだ。つまり512MBしか容量がない。容量は少ないが、NASに必要な機能のみで構成されたLinuxならばこれで十分なのだろう。

他に目立つ部品としてはEtronのUSB3.0ホストコントローラである「EJ188H」位か。
これは2011年頃から出回り始めた歴史あるチップで性能は良くないが、USB3.0の普及に大変貢献した割とメジャーなチップである。


というわけで。

中古再生品を新品と偽り売っていたのだからアマゾンには新品に交換させる事も可能だったと思うが、バラしてしまった以上、このまま使うつもりだ。

恐らくこれは保証期間内で故障したモノをメーカーで回収し、修理したものを放出したと思われる。なのでモノ的には信頼できるし、S.M.A.R.T.の情報を信じればハードディスクは新品なので良いかと思う。

nas_hdd4tb.png
S.M.A.R.T.の情報。電源投入回数は2回なので、恐らく新品だ。

まあ値段なりの買い物だったという事で納得しよう。



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HAMRのハードディスクが近く販売されるらしい [ハードディスク]


かなり待たされた感があるが、ようやく、数年前にTDKが「2016年中にも商品化」と言っていたHAMR採用のハードディスクが出るらしい。


Seagate、「HAMR」技術で世界最大容量の16TB HDD
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1156805.html


私が初めてHAMRを知った時、ハードディスクに関する知識は今よりも随分少なかったので考えが及ばない事がかなり多かったが、今考えると書き込みヘッドの大きさはどうにかなったという事だろうか。

最近2TBプラッタ採用(2.5inchでは1TBプラッタ)のハードディスクが出回り始め、これらがSMR採用である事から物議を醸しているが、このSMR採用の大きな要因が「書き込みヘッドと読み取りヘッドの大きさの違い」である。

hdd_head.png

ハードディスクの大容量化には線密度とトラック密度の両方を上げる必要があるが、これには書き込みヘッドを小さくする必要がある。だが、書き込みヘッドの小型化は発生する磁力が弱くなる事から限界があるわけで、今まではこの問題のおかげで書き込みの幅を狭く出来なかった。


一方、HAMRは熱で磁石の安定性を下げ、強磁性の材料を弱い磁界で磁化反転させる事を可能にするための技術。
だから理屈では書き込みヘッドの小型化が可能になるわけだが・・・


なんにせよ、この技術が実用化された事は素直にうれしく思う。

後は何時この技術が一般向けの安価なハードディスクに降りてくるかが問題だ。


パソコン用ハードディスク大容量化の歴史
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28



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SMRの一般向けHDD [ハードディスク]

かつてSeagateの3.5inchハードディスクで初めて採用され、一般のパソコンやNASで使った人達からあまりに故障の報告が多かった、SMR採用ハードディスク。

近年はSMRだからといって故障したという話はあまり聞かないが、書き込み頻度が多い使い方、例えばギガバイト単位の大きなファイルを書き込むとか、ファイルを一度に数百数千と書き込む場合に大幅な速度低下が起きる特性は変わりない。

これはSMRの宿命であり、SMRを使う以上避けえない事だが、アーカイブ用途のように一旦ファイルを書き込んだ後にほとんど書き込みは行わない場合には容量が増える事のメリットの方が大きい。しかし、一般のOSやアプリケーションを使う用途では重大なボトルネックになるので、これまでそのような用途向けハードディスクにSMRが採用される事は無かった。

ところがここ1~2年の間にSeagateから一般向けのハードディスクでSMR採用機種がいつの間にか出ていて、今年は東芝からも出ているようである。


ここでSMRを採用したハードディスクについて簡単に説明しよう。

SMRを採用したハードディスクの場合、書き込み時に複数のトラックをまたがって記録ヘッドが書き込みを行い、関係のないトラックを上書きしてしまうため、複数のトラックをひとまとめ、過去の説明ではブロック、現在では「バンド」というらしいが、この複数のトラックに対し1番目のトラックから最後のトラックまで、テープのようにシーケンシャルな書き込みしか出来ない(読み込み時は一般のハードディスク同様ランダムアクセスである)。

また書き込みにはSSDに似たプロセスが必要で、書き込む前に一旦書き込まれるバンド全てのトラックを読み込んで上書きが不要なファイルを別の場所に移動させたり、或いは読み込んだデータの一部を書き換えて元の場所に書き戻すという動作が必要になる。

この辺りの説明は以下のSeagateによる説明が詳しい。

Seagateのシングル磁気記録で容量の壁を超える
https://www.seagate.com/jp/ja/tech-insights/breaking-areal-density-barriers-with-seagate-smr-master-ti/


こうした書き込み動作のためにSMRのハードディスクはキャッシュメモリ(DRAMやNAND Flash)を大量に載せていて、一旦ファイルをキャッシュに保存する事でパソコンを操作している人間に対し速度低下を認識させないのだが、キャッシュ容量を超える書き込みが発生すると速度低下を隠せなくなる。
また、キャッシュされたファイルの処理には時間がかかるため、サイズの小さなファイルを大量に書き込むような場合にもハードディスク側の処理が追いつかず、大幅な書き込み速度低下を起す。

特に、現在のWindows(7~10)に使われているNTFSは「ログファイル」やMFT(マスターファイルテーブル)と呼ばれるファイルが存在し、ファイルが一つ書き込まれる度にログファイルやMFTも更新(上書き)される。ハードディスクやSSDでファイルを一度に数百数千と書き込むと著しく書き込み速度が落ちる原因の一つであるが、これがSMRのハードディスクでは致命的なボトルネックになってしまう。

サーバー向けSMR採用ハードディスクでは、膨大なデータ処理をハードディスク本体の貧弱なCPUと少ないキャッシュメモリではなく、サーバー本体の高性能なCPUと大容量のメモリで処理する事で速度低下を防ぐ方式が取られているが、一般向けの安価なパソコンでこれを行う事は現実的ではなく、全てハードディスク内で処理する方式に留まっている。


こうした事情から、SMRを使ったハードディスクは“通常の使い方”には適さない事が理解出来ると思う。
SMRはあくまでも“倉庫用のハードディスクに適した技術”なのだ。

にも関わらず、Seagate製を中心にいくつかのハードディスクがSMRを採用していて、しかも販売時にSMR採用を明記していない。

今年の4月頃から販売の始まった、3.5inchで2TBプラッタを用いたSeagateのバラクーダシリーズや、2.5inchの一部ハードディスクがこれに該当する。


SMRを使った一般向けハードディスクの型番(2018年10月現在)

Seagate 3.5inch
ST8000DM004、ST6000DM003、ST4000DM004、ST3000DM007、ST2000DM005

Seagate 2.5inch
ST2000LM007、ST2000LM015、ST3000LM024、ST4000LM016、ST4000LM024、ST5000LM000

東芝 2.5inch
MQ04ABF100、MQ04ABD200


以上。

これら以外にもあるかも知れないが、今の所私が確認できたのはこれだけだ。


このように一般向けのハードディスクにSMRが採用され始めた理由はいくつか考えられるが、書き込み時のデータ処理方法にこれまでのノウハウから一般向けでも利用可能と判断出来るだけの進歩があったと思われる。

しかし根本的な問題が解決したわけではないため、実際には極度の速度低下という問題が発生する事は目に見えている。

現在それを窺わせる報告がいくつか存在するが、一方でこの問題を否定する報告もあるためにWeb上の情報から判断する事が難しい。


私としては、SMR採用の一般向けハードディスクは当面様子見するつもりだ。

今後従来型記録方式(CMR)のハードディスクが減っていく可能性もあるので、ハードディスクを新たに買う必要性が生じた場合、購入機種の選択にはこれまで以上に注意を払う必要があるだろう。



※略語解説

SMR(Shingled Magnetic Recording)
瓦記録と訳される新しい記録方式。ハードディスクの容量をCMRのおよそ25%増加させる事が可能だが、引き換えに著しいランダム書き込みの速度低下が起き、無理にランダム書き込みが多い用途に使えば思わぬ障害が起きる可能性が高い。主に一旦データを書き込むと書き換えがほとんど発生しない用途に適する。

CMR(Conventional Magnetic Recording)
従来記録と訳すSMRの対義語で、SMRの登場により作られた造語。
当然、SMRが世に出る前には存在しなかった言葉である。

PMR(Perpendicular Magnetic Recording)
垂直磁気記録と訳す。21世紀初頭、これまでの水平方向に磁化する記録方式(LMR)では記録密度の限界に達したため、代わりに登場した記録方式。2004年に東芝が初めて製品化、販売開始された。PMRという略語は2004年の初登場以来ほとんど一般に使われる事が無かったが、近年理由は不明だが使われる事が増えたようである。

LMR(Longitudinal Magnetic Recording)
内磁気記録と訳す。PMRの対義語として作られた造語。
ハードディスク発明当初から使われた、水平方向の磁化でデータを記録する方式である。
CMR同様、PMRが世に出る前には存在しなかった。



参考資料

HDDの大容量化をけん引する瓦記録技術
https://www.toshiba.co.jp/tech/review/2015/08/70_08pdf/a08.pdf

2 章 ハードディスクドライブ - 電子情報通信学会知識ベース
http://www.ieice-hbkb.org/files/08/08gun_02hen_02.pdf

世界最大記録容量1.5TBの3.5インチハードディスク出荷開始
http://www.sdk.co.jp/news/2017/26893.html

パソコン用ハードディスク大容量化の歴史
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28

SMRのSSD的書込み挙動
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01

二次元磁気記録(TDMR)
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2018-08-04


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東芝のヘリウム入りHDDはHGSTの「HelioSeal」採用か? [ハードディスク]

東芝は昨年12月8日と今年7月31日に、データセンター等エンタープライズ向けと一般向けNAS用の14TBハードディスクを発表している。

世界初、CMR方式で記憶容量14TB を達成したニアラインHDDのサンプル出荷開始について
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/company/news/news-topics/2017/12/storage-20171208-1.html

記憶容量14TBのNAS向け3.5型HDDのサンプル出荷開始について
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/company/news/news-topics/2018/07/storage-20180731-1.html


これらは共にヘリウム充填型のハードディスクで、プラッタ枚数は9枚にも達する。


ここで気になるのはヘリウムを密封する方法である。

原子サイズが極めて小さいヘリウムは、生半可な密封ではわずかなスキマ、そう、分子のスキマからでも漏れてしまう。
例えば二酸化炭素ガスが漏れないようなゴムとか樹脂製のパッキンを使った密封容器を使っても、ヘリウムの場合ゴムや樹脂を構成する分子のスキマから漏れてしまうのだ。
だからヘリウムを密封する容器にはアルミや銅、真鍮などの金属製パッキンが必要と思われるが、ハードディスクに金属製パッキンを使うには3.5インチ筐体に2.5インチディスクを収めるような設計でもない限り無理があるし、金属製パッキンは温度変化による金属部品の変形に対する追従性も悪いので、複雑な形状でかつ密封が必要な断面積が大きいハードディスクでは場所によって変形量が大きく異なるから尚更採用が難しい。

こうした事情から世界で初めてヘリウム充填型のハードディスクを実用化したHGST製のハードディスクは、筐体とフタのシールには溶接を用いている。

まあ、仮に金属製のパッキンを使う事でネジ止めによるシールを達成達成できたとしても、ハードディスク一個のフタを止めるのに数十本のネジが必要な気がするので、もしそうであればあまりにも非現実的と言わざるを得ない。

要は小さなハードディスクの大きな断面のスキマを、ヘリウムが漏れないように塞ぐというのはかなりのハイテクなのである。


以上の事から、東芝が自社でヘリウムを密封できるハードディスク筐体を開発したとは考えられない、と思った。

そこで東芝製ヘリウム充填ハードディスクの写真を良く見ると、HGSTのヘリオシール採用ハードディスクの外観と非常に良く似ているのである。

th_he_hdd.jpg

恐らく技術を買ったかなにかして筐体の基本設計や部品等は同じものを使っていると思われる。

・・・あくまで私の想像なので、まったく違う場合も考えられるが。


MG07ACA(アヒル先生の画像検索結果)
https://duckduckgo.com/?q=MG07ACA&t=ffcm&iax=images&ia=images


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二次元磁気記録(TDMR) [ハードディスク]

今年になってから気付いたのだが、ハードディスクの記録方式には“ Two-Dimensional Magnetic Recording (TDMR) ”、日本語で書くと「二次元磁気記録」というものがあるらしい。(二次元磁気記録自体は少なくとも10年以上前に考案されている)

この二次元磁気記録(以下TDMR)は現在、次世代のハードディスク用高密度記録方式の一つとして候補に上がっていて研究が進められているようだ。


昨年以前は単に気付かなかっただけのか、ここ数ヶ月TDMRに関する情報をよく見かける。
そのおかげで興味を持つようになったが、最初はそもそもハードディスクは平面にデータが記録されているのに、一体何が二次元なのかと思った。が、どう考えてもそれは違うはずなので、この点について説明がされた記事を探したが、私の求める説明が記された記事が無い。

あったとしてもそれは単にそういうものがあるという素人向けの記事と、専門家に向けた「それが何か理解していることが前提」の記事ばかりなのだ。

仕方がないのでこれらの記事をたくさん調べる事で素人の私にも理解出来る話の断片を拾い集め、なんとか理解出来た。理解してみると、“二次元磁気記録”という言葉だけでイメージが湧くのが普通と思えるほど単純な話だった。


私がTDMRについて理解した内容を説明すると、まず比較対象として、現在のハードディスクはトラックという円周上に区切られた線上へ一列にデータが記録されている。「線上に一列」なのだから、これは一次元記録である。

tdmr2_hdd.png

身近にあるもので例えると「バーコード」と同じ記録方式。

tdmr1_bcqr.png
説明は不要だと思うが、左がバーコード、右がQRコード。

一方で二次元記録はQRコードのように、縦と横(或いは斜め方向にも)に意味を持たせて0と1を並べる。同じ面積に単に0と1を一列に並べるよりも数倍の記録密度が得られる記録方式であり、これをQRコードのような印刷ではなく磁気で記録するのがTDMRであるということだ。

では同心円状のトラックへ横一列にしかデータを記録できないハードディスクでどうやって二次元コードを記録するのかというと、瓦記録方式(SMR)で一列ずつ、複数のトラックに渡って二次元コードを記録していくらしい。以下にそのイメージを図にした。

tdmr3_tdmr.png

このような方法で記録していくので、TDMRはSMRとセットで考えられている。言い換えるとTDMRとはSMRの一種であると言えるが、そもそもSMR自体がTDMRの技術を単純化して生まれたものであるようなので、「SMRはTDMR実用化への過渡的な技術」という理解が正しいのかもしれない。(SMRは2008年にTDMRとして報告されたものの記述に含まれている。)

物理的な記録方法がSMRと同じTDMRだが、違う点は複数のトラックの集まりである「ブロック」全体が一つの二次元コードになっている事。物理的な記録方法がSMRと同じである以上、記録されたデータを読むにはトラック内のセクタに対し通常のハードディスクと同様にアクセスするという事ができず、ブロック全部を読み込む必要がある。

従ってブロック内の一部のデータしか必要がないとしても、ブロック全部を読み込まなければならないために通常のハードディスクよりもアクセス速度が遅くなる。

例えばブロック内のトラックが8段なら、円盤が8回転するまでデータを取り出せないために単純計算で8倍以上の時間がかかるという事になる。断片化した情報が複数のブロックに分散していたら、かなり酷いことになるだろう。だがこうしたケースは恐らく、ハードディスクコントローラとファームウェアのプログラムによって極めて少なくなるよう、データの再配置がされるはずだと思われる。
ちなみに書き込み時はSMRという書き込み方式である以上トラックのデータを上書きするため、ブロック内のデータ全てを一旦読み込んでから書き戻す必要がある。従って、データの書き込みにはTDMRでもSMRと同じかそれ以上の時間が必要になるはずだ。

このように、物理的な読み書きに通常のハードディスク以上の手間がかかる上、読み書きするデータには常に二次元コードの生成・復号という手間が上乗せされる。この生成・復号にかかる計算は、汎用CPUコアを使う現在のハードディスクコントローラでは荷が勝ちすぎていると私は考えるが、常に一定のルールで計算されるのならば専用のハードウェアで行うという方法がある。

消費電力の観点で見ても専用のハードウェア回路で計算した方が有利と思われるので、コスト度外視で速度を追求できるのならば、二次元コードの生成・復号の一部又は全部の計算用に専用アクセラレータとしてハードウェア実装する事が必要ではなかろうか。なおこの類の問題への答えとしてはすでにHGSTがホストマネージドSMR、つまりSAS(SATA)コントローラやコンピュータ本体のCPUでデータの処理を行う方式が存在する。SMRですらこんな状況なので、TDMR採用の壁は相当に高いと思う。


最後に、現在製品化されているハードディスクにはTDMR採用機種が存在しないが、WD傘下のHGSTから出ている「Ultrastar DC HC530」がTDMRに関する技術を採用している。

Ultrastar DC HC530
https://www.hgst.com/products/hard-drives/ultrastar-dc-hc530

上記サイトでダウンロード出来るデータシートにはこう書かれている。


 “ Features like TDMR technology (two-dimensional magnetic recording) and a third-generation dual-stage microactuator work together to enhance head-positioning accuracy and deliver better performance, data integrity and overall drive reliability, critical in multi-drive environments where operational vibration is present. ”


この一文から読み取れる事は、TDMRに関する技術を使ってヘッドの位置決め精度を向上させているという事だ。
日本国内のパソコン関連情報サイトにはTDMRを採用していると誤認したかのような記事があったが、「Ultrastar DC HC530」の用途を考えてみてもTDMRの採用はありえないと思う。


現在史上最大容量である14TBのハードディスクは、WD(HGST)、Seagate、東芝の3社から出ている。

これらの内にSMRを採用した機種がある一方、同じ14TBの容量で通常タイプ(SMRを使っていない)のハードディスクも存在し、つい先日には一般向けNAS用の14TBハードディスクが東芝より発表されたりもしている。

SMR採用機種の記憶容量が通常タイプと同じである以上、SMRの技術的課題はかなり残っており、TDMR登場の時期もまだ当分先の話ではないかと感じる。


参考:

磁気記録媒体の現状と展望
https://www.fujielectric.co.jp/about/company/gihou_2012/pdf/85-04/FEJ-85-04-314-2012.pdf

SMRのSSD的書込み挙動
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01

HDDのSMR技術とはなにか
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2014-12-15


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4TBのHDDが安い [ハードディスク]

パソコン関係の部品の中でも、データを保存するための部品は記憶容量当たりの価格変動が非常に激しい。

メインメモリに使われるDRAM、ファイルを保存するための各種ストレージ。
これらは技術の進歩に従ってどんどん安くなる。


今日はそんなストレージデバイスの一つ、ハードディスクの価格について一つの区切りみたいなものを感じた。

それはこの記事にある、4TBの3.5inchハードディスクの価格が特価とはいえ8000円を切った事による。


4TB HDDが税込7,980円!(以下略)
https://akiba-pc.watch.impress.co.jp/docs/wakiba/find/1109603.html


今から7~8年位前に2TBの3.5inchハードディスクがこのくらいの値段だったか。
その後タイの洪水による影響があって一時ハードディスクの価格は上昇していたが、ここ2~3年で再び価格の下落傾向が強まり、ジリジリと値段が下がっていった結果ついに4TBがこの価格にまで落ちてきた。

ハードディスクの場合、記録媒体である磁気ディスク(プラッタ)の記録密度が上がる事で容量単価が下がるが、他の機械部品であるケースやモーター、そしてヘッドの駆動部品等はあまり価格変動しない。価格の内それらは容量に関係なくほぼ同一であり、プラッタとヘッドの数などに加え、大容量モデルはプレミアム分の上乗せとなるから、プレミアム分はより大容量のモデルが出る事で消え、その他はプラッタ密度が上がって枚数が減ることで価格が下がる。

それを考えると、今年に入って4TBモデルの価格が一気に下がった主な理由は最近出始めた2TB/枚のプラッタのおかげか。

なんにせよ4TBで約8000円というのはかなり割安に感じ、過去に私が買ってきたハードディスクの値段を考えると色々と感慨深く感じるのだ。ああ、もうこんなに下がったのか、と。


まあ、これも時代の変化というのか。
次にこんな記事を書くとすれば、8TBが8千円くらいになった時になるのだろうか。


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東芝のヘリウム充填HDD [ハードディスク]

先日私は「東芝の「MN06ACA10T」という記事を書いたが、翌日にこんなニュースが出ていた事に今頃気付いた。


世界初、CMR方式で記憶容量14TB を達成したニアラインHDDのサンプル出荷開始について
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/company/news/news-topics/2017/12/storage-20171208-1.html


14TB一番乗りが東芝という事も驚きだが、それよりも突如としてそれまで無かった「ヘリウム充填型HDD」を東芝が出して来た事が一番驚いた。

記事の写真を見るとHGSTのヘリウム充填型HDDに似ている事から、WDつながりで技術の提供を受けているのだろうか。東芝もヘリウム充填型HDDの基礎研究くらいはしていたかもしれないが、実際の製品を作るとなると別だろうから、ヘリウムをあらゆる条件で閉じ込める事が出来る“筐体”はHGSTのものを流用し、中身は自前である気がする。(ちなみにSeagateはネジ止めのフタでヘリウムを閉じ込める事が出来なかったので溶接している)

その中身については、これも驚きの“プラッタ9枚”
2.5inchのHDDで培ったノウハウにより実現したのだろうか。


私の場合当分はこんな大容量のハードディスクなど不要ではあるが、ハイエンドの容量が増える事で下位のハードディスクも容量が増えて低価格化していくので、こういう事は無関係ではない。

私の望みとしては、2.5inchの9.5mm厚で10TBのハードディスクが2万円程度で出ればいいなあ。と思っているが、それは何時になるのだろうか。


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東芝の「MN06ACA10T」 [ハードディスク]

東芝からヘリウム封入タイプではない、一般的なハードディスクで10TBのモデルが出た。

記憶容量10TBのNAS向け3.5型HDDのサンプル出荷開始について
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/company/news/news-topics/2017/12/storage-20171205-1.html


この東芝からのニュース記事によると


従来からの空気ベースの構造で記憶容量10TBを達成しました。

とあり、また、

また新製品は、24時間稼動に対応しており、ワークロード[注5]年間180TB、平均故障時間(MTTF)[注6]は100万時間を有しており、さらに振動補正技術を採用し、NAS向けの信頼性を備えています。


と書かれている。

過去にそれまでの常識を破った容量8TBのハードディスクがSeagateから出たが、あれはSMRを使ったものであり、NASに入れると大抵はほどなく壊れるというシロモノだったが、これは最初からSMRではなくNASでの使用を前提とした高耐久性モデル。
ちなみに現在SMRを使わない8TBの通常タイプハードディスクは東芝とSeagateから出ている。

プラッタ構成は1.66TBタイプを6枚と想像するが、これで7200 r.p.m.のプラッタ回転数とは。
技術の進歩はすごいものだ。


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マイクロ波アシスト記録のハードディスク [ハードディスク]

WD、2025年までに40TB超のHDDを実現へ
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1086000.html


この記事によると、米Westen Digital(以下WD)は「マイクロ波アシスト記録(以下MAMR)」を採用した新型ハードディスクを2019年に製品化し、2025年までに40TB以上のHDDを実現できると発表したらしい。


以前私はパソコン用ハードディスク大容量化の歴史などという記事を書いたが、当時私が調べた時はMAMRという技術の存在に気付かなかった。今回改めて調べると、少なくとも2010年頃からいくつも記事がネット上に上がっているようで、私自身の勉強不足が恥ずかしい。(※MAMRについて調べる過程で他にも私が知らなかった技術が色々発見できた事がうれしい)

次世代超高密度HDDに向けたマイクロ波アシスト記録の基本技術を開発
http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2010/11/1105.html

ところでMAMRとは大雑把に言うと、「磁化反転しにくい強力な磁石に磁気的な振動(高周波磁界)を与えて磁化反転しやすくする」という技術のようだ。

これに対し以前記事に書いた「熱アシスト記録(以下TAMR)」は、熱で磁化反転しやすくする。TAMRは2015年にTDKが2016年中に製品化という発表を行っていたと記憶しているが、2017年現在TAMRを使ったハードディスクが製品化されたという話は聞かない。一体どうしたのかと思っていたのだが、今回見つけた記事によると材料や信頼性に課題があるらしく、製品化に当たってこれらを低コストで解決する方法が確立されていないのではないかと思われる。

この点MAMRは材料に関して従来の技術のまま応用が可能なのか。
イメージ的には熱よりも高周波磁界の方が材料にやさしい感じはする。


なんにせよ、これまでいくつかのハードディスク大容量化技術が出ていたが、垂直磁気記録と同レベルの画期的な技術が実用化されるのは久しぶりだ。これに近い技術としてはプラッタ(ハードディスク内部の円盤)の限界枚数を引き上げたヘリウム封入型ハードディスクがあるが、こちらは記録密度を上げる事とはかなり意味が違う。

この技術は製品の販売が始まったとしても当面は業務用の製品に限られるだろうが、一般向けにも普及すれば二桁テラバイトのハードディスクが当たり前になる時代も来る事だろう。
2.5インチで厚さ7mmのハードディスクが10テラバイトなんていうのも、数年内に出てくるかもしれない。


参考:

マイクロ波で超高密度記録を狙う次世代HDD技術
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/582232.html

限界と常に闘い続けるHDDの記録密度向上技術
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/event/582047.html

新しい高密度記録技術─エネルギーアシスト磁気記録媒体
http://www.fujielectric.co.jp/about/company/jihou_2010/pdf/83-04/FEJ-83-04-257-2010.pdf

ハードディスクの高密度化を実現する多層磁気記録に関する新技術を実証
https://www.toshiba.co.jp/rdc/detail/1507_01.htm



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Ultra☆ He12 [ハードディスク]

今月26日(米国時間)、HGSTブランドの12TBハードディスク「Ultrastar He12」の量産出荷を開始、というニュースが米Westen Digitalより発表された。

以下はHGSTが公表するスペックより抜粋。


Ultrastar He12

容量    :12TB
プラッタ枚数:8枚
回転数   :7200r.p.m
バッファ  :256MB
転送速度  :最大255MB/s
シークタイム:8.0ms (Read) / 8.6ms (Write)
消費電力  :アイドル 5.3W / 読み書き 7.2W


プラッタ8枚で12TBという事は、プラッタ1枚あたり1.5GBか。
密閉型でない通常のハードディスクで最大容量は現在8TBで、1.33GBのプラッタ6枚が使われている。
これよりもプラッタ容量が多いのか。

まあ、ハードディスクの最大容量が増えた事は素直にうれしく思う。


ところで記事にしていなかったが、最近東芝が通常タイプの8TBハードディスクの販売を始めている。現在秋葉原などで約3万円らしい。

8TBのハードディスクもついに、コストパフォーマンスで私の購入候補に上がるような価格になって来たか。

このような時代が来る事も、Ultrastar He12のようにハイエンドのハードディスク容量が増え続けているおかげである。



WD、容量12TBのヘリウム充填HDDを量産出荷
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1057233.html

HGST Ultrastar He12
http://www.hgst.com/products/hard-drives/ultrastar-he12

2万9800円の安価な8TB HDD「MD05ACA800」が東芝から登場
http://ascii.jp/elem/000/001/472/1472106/



ハードディスク再生とデータ回収 [ハードディスク]

昨日友人から電話があり、パソコンが起動しないからなんとかして欲しいと依頼された。

問題のパソコンを見ると原因はハードディスクの故障のようだったので、数台増設された中から故障しているハードディスクを探し出した後に取り外してパソコンの電源を入れると普通に起動し、問題なく使える事を確認したので、問題のハードディスクのみを引き取って自宅に持ち帰り、データの回収を試みた。


幸いハードディスクの故障が軽く、HDD Regeneratorというツールを使う事でそれまでOSで認識しなかったものが無事認識するようになり、1.3TBほどあったデータも全て回収する事が出来た。

故障したハードディスクは普通に読み書き出来るようになってデータも全て回収したが、この再生したハードディスクは残念ながら廃棄処分にするつもりだ。

何故なら、このハードディスクは動いているように見えるが実際にはすでに死んでいるからだ。
例えるなら、大往生した老人を生命維持装置で無理やり生きながらえさせ、家族が看取る時間を稼いでいるに等しい状態なのだ。



ところでパソコンと無関係な話だが、HDD Regeneratorをかけている間(今回は問題があると想定される範囲のセクタのみで4時間ほど)は時間があるので、以前より行く予定だった「ウド」の採取に行ってきた。

この時期はウドの採取にはもう遅いのだが、今日行った場所は標高が高く、まだ食べられるものが多少採れる。
往復で3時間強、採取は15分程度であるが、それでも4~5人でおいしくいただける量が採れた。

そして本題はここから。
近年、私の知っているウドが採れる山からウドが消えつつある。
原因は採り過ぎで、生えているものを根こそぎ取っていく不埒者が多く、そのおかげで絶えてしまっているのだ。

私と同様に山菜を採る友人知人の話と私の目撃情報を統合すると、クルマのナンバープレートなどの情報から主に地元の外からやってくる人(もちろん地元の人でも悪いのが居るが)が根こそぎ持っていくらしい。

これは本当に困る。
インターネットやスマートフォンの普及で情報の拡散が広く早くなったおかげか、山菜を求めて山に入る人が増えている。
取るなとは言わないが、せめて来年以降の事も考えて根こそぎ持って行くのはやめてもらいたい。
わずかに残っている物を来年以降を考えて取らずにいると、収穫がゼロなんて事もあり得るが、そういう時は収穫ゼロでもおとなしく山を降りるべきだ。
それが出来ないのなら、山に来るべきではない。


WDの8TB HDDはヘリウム入り・・・だが安い! [ハードディスク]

日立グローバルストレージテクノロジーズ(以下HGST)とSeagateに続き、Western Digital(以下WD)からもヘリウム入りのハードディスクが発表された。

WD、ヘリウム封入型の8TB HDDを約4万円で発売
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20160302_746315.html


まず目を引いたのが価格。
HGSTの同じ容量のハードディスク、Ultrastar He8が8万円以上するのに、WD製は4万円である。
一体何がどうなると半額にまで安く売る事が出来るのか。

ただ、HGST製はデータセンターなどに向けた業務用であるのに対し、WG製は3種ある内の4万円のモデルはRedとPurpleで、一応業務用途とはいえ一般向けの製品だ。
なので、製品の検査など生産コストに関わる部分が簡略化され、保証期間なども短い設定なのかもしれない。


そして気になる中身だが、写真を見比べた限りではHGSTのOEMに見える。

WD_HGST_He.png

OEM製品を売るのなら、開発コストが最小限で済むので安く売る事が可能なのも頷ける。現在HGSTはWD傘下なので色々と融通も利くから、このような事が可能になったと思われる。


なんにせよ、一般の消費者にもヘリウム入りの大容量かつ高信頼性のハードディスクが選択肢に入って来た事を歓迎したい。


Seagateもヘリウム充填HDDを発表
http://17inch.blog.so-net.ne.jp/2016-01-16

HGST Ultrastar He10
http://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-12-03

2015年のハードディスク各社信頼性比較 [ハードディスク]

数年前から毎年自社で使用するハードディスクの故障率を公表している、Backblaze社のBlogを訪問してみた。
ここの内容は2014年までGIGAZINEで取り上げられていたのだが、最新のデータである昨年のものを見ていないので元記事を探してみたというわけだ。

その2015年10月に発表された記事はこれ。

Hard Drive Reliability Stats for Q3 2015
https://www.backblaze.com/blog/hard-drive-reliability-q3-2015/


記事によると、2015年は50,228台のハードディスクをBackblaze社のデータセンターで使用していて、故障率は9月に1年分を集計。

掲載されている表を見ると、使用している全てのメーカーとハードディスクの機種と容量ごとに使用している台数や故障率を表にまとめていることがわかる。
表を見るとわかるが、機種ごとに台数(表中のMax # in Serviceの値)が違うし、一般のパソコン用とデータセンター等のエンタープライズ向けやNAS用など、用途向けによる信頼性の違いなどが混在するので単純に比較は出来ない。

しかし大雑把な傾向としては十分信頼に値すると思うし、こうしたモノはいわゆるクジ引きなので、ここで出た故障率はクジ引きでハズレを引く確率だと思えば良いだろう。


以下は元記事の表から私がデータを抽出し必要と思うものをまとめた表と、その表を元に2015年のデータをメーカーと容量別にグラフ化したものである。

2015HDD_hyou.gif

2015HDD_graph.png

それにしてもSeagateの3TBは壊れすぎだ。故障率30%というのは尋常ではない。
しかし4TBから上の容量では優秀な成績を収めている。2014年のデータでも同様の傾向だったが、これは大容量の機種ほどエラーの少ない部材を使用しているからなのか、単に大容量の機種は発売から日が浅いために稼働時間が短いのでまだ壊れていないだけなのか、判断が難しい。

一方HGSTは相変わらず頭抜けて優秀である。5TB以上で3.4%とHGSTの中では悪いデータが出ているが、これは初物のヘリウム封入タイプであるUltrastar He8のデータなので、今後改良を重ねるごとに下がると思われる。そして大容量の機種ほど故障率が下がるのはSeagateと同じだ。こういう傾向は心理的には納得できるものがある。

Western Digital(以下WD)は今回全体的に悪い成績だ。消費電力が低く発熱も少ないので安心して使える印象が強いが、まあこんなものか。テラバイトクラスが出回る以前よりWD製ハードディスクの信頼性はそれほど高くは無かったので、素直に受け入れる事が出来る内容。

最後は東芝。
東芝は2012年にWD傘下に入ったHGSTの日本国内にあるハードディスク生産工場を譲渡されてから3.5インチハードディスクの製造を始めた。なので2012年当時はHGSTの販売するものとまったく同じものを生産していたが、現在は自社技術の導入でHGSTのものと違うと思われる。東芝は昔から2.5インチのハードディスクを開発・生産し、その2.5インチハードディスクの信頼性はかなり高いのでそのノウハウが活かされたと思われる好成績である。
しかしHGSTと比べるとさすがに劣る感じだ。今後さらに故障率が下がることを期待したい。


というわけで、2015年もHGST製のハードディスクが最も信頼性が高い事が判明した。
このデータが購入時の参考になれば幸いである。


※参考記事

ハードディスクはどこのメーカー製が一番壊れにくいのかが2万5000台の調査結果でついに明らかに
http://gigazine.net/news/20140122-hdd-survival-rate/

HDD約3万5000台を運用した実績からSeagate製品の圧倒的壊れっぷりが明らかに
http://gigazine.net/news/20140924-hdd-reliability-sep2014/



Seagateもヘリウム充填HDDを発表 [ハードディスク]

Seagate: 容量10TBのヘリウム充填型HDDを発表
http://www.businessnewsline.com/news/201601140853200000.html

Seagate Unveils 10TB Helium Enterprise Hard Drive
http://www.techpowerup.com/219217/seagate-unveils-10tb-helium-enterprise-hard-drive.html


これらの記事によると、Seageteでもヘリウム充填タイプのハードディスクが発表された模様。
容量はプラッタ7枚で10TB、SMRは採用されていない。
平均故障間隔(MTBF)は250万時間とされており、先に発売済みのHGST製Ultrastar He10と同等の信頼性が確保されているようだ。


プラッタ7枚で10TB、MTBF250万時間というスペックは一応Ultrastar He10と同じである。

ただ、このヘリウム充填型ハードディスクは単に空気の代わりにヘリウムを入れて密閉するだけで作れるほど単純ではない。この辺り、HGSTの技術とどう違うのか興味がある。

HGST Ultrastar He10 [ハードディスク]

現地時間で昨日の12月2日、HGSTから新しい10TBハードディスク「Ultrastar He10」が発表された。HGSTには他に「Ultrastar Archive Ha10」という10TBモデルが存在するが、この新型ではなく「Ultrastar He8」の後継モデルと思われる。


現在一般向けのハードディスクは3.5inchでプラッタ(内部の円盤)1枚当り1~1.2TB程度。これを最大5枚入れる事で最大6TBを実現している。
6TBを超える容量となると8TB/10TBの2種類が存在するが、これらは普通のハードディスクではない。一般的な3.5inchハードディスクは厚さが26.1mmで規格統一されている。このサイズに収まるディスクの枚数は様々な理由から5枚が限界。従ってプラッタ容量を上げない限り、1台当りの記憶容量は6TBが限界である。


現在記録容量8TB以上のハードディスクを製造するメーカーはHGSTとSeagateの2社。

この内Seagateは最大8TBで“SMR”という技術を使い、1.33TB/枚のプラッタ6枚構成。ハードディスクの構造は従来通りの開放型なので、プラッタ6枚を詰め込むのはかなり無理をしている事になる。
ちなみに無理してプラッタ6枚詰め込んだ事が理由なのかはわからないが、Seagateの8TBモデルである「ST8000AS0002」は故障率が高い事で有名だ。

これに対しHGSTはハードディスク内部にヘリウムガスを充填する事でプラッタ枚数の限界を増やす技術“Helio Seal”を開発し、1.2TB/枚のプラッタ7枚構成で8TBと、これに“SMR”を組み合わせた10TBのモデルが今までのラインアップだった。

そして今回発表された「Ultrastar He10」は、SMRを使わずに10TBを実現している。
プラッタ枚数は7枚、プラッタ当りの容量は1.5TB/枚にもなる。プラッタ当りの記録密度の限界がまた一つ突破されたわけだ。


それにしても何故、HGSTは“SMR”を使ったモデルを出しながら今回は採用しなかったのか?単純に容量を稼ぐならば“SMR”を使って12TBも可能なはず。と、思う人もいるかもしれない。
しかし二つある同じ10TBモデルの型番を並べてみればわかる。

発売済み → Ultrastar Archive Ha10
今回発表 → Ultrastar He10

見ての通り、発売済みの方は“Archive”が付く。HGSTの説明によると『アクセスが多く性能が求められる「ウォーム」タイプと、容量が求められるリムーバブル式「オフライン」との中間にあたる「アクティブアーカイブ」向けに位置付けられる。』とのこと。つまりSMRを使った「Ultrastar Archive Ha10」は用途が違うわけだ。
“「ウォーム」タイプ”とは通常のハードディスクの守備範囲で、“リムーバブル式「オフライン」”とはテープの事だろう。SMRを採用するハードディスクは、ディスク全体ではハードディスクの特徴であるランダムアクセス、そしてブロック内はテープと同じシーケンシャルアクセスという特徴のため、その中間の扱いには納得出来る。


というわけで、SMRを使わないハードディスクとして史上最大容量の10TBを実現した「Ultrastar He10」。

ハードディスクの進化は続く。


参考:

SMRのSSD的書込み挙動
http://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01

パソコン用ハードディスク大容量化の歴史
http://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28

SMRのSSD的書込み挙動 [ハードディスク]

ハードディスクのSMRについて、私は過去にこんな記事を書いた。

HDDのSMR技術とはなにか
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2014-12-15

しかし今日見つけた記事でSMRのより詳細な情報を得たので、過去記事の訂正と新たに判明した事実をここに記そうと思う。


まず最初に確認しなければならないのは、現在のSMR技術による記録は複数のトラックをまたいで上書きされるという事。

最初の私の理解では、トラック内でビットごとの上書きが起きるのがSMRだった。つまりプラッタの回転方向にのみの重ね書きなので、その後ろの1又は数bitが上書きされるだけだと思っていた。
何故そう理解したのかというと、以前読んだ説明記事では単に重ね書きするという説明しか無かったし、ハードディスクの基本動作上、トラックをまたいだ重ね書きなどありえないからだ。

もしトラックをまたいだ重ね書きをするとどうなるのか。
それは、上書きされたトラックのデータが消えるという事だ。このため、書き込む前に上書きされるトラック内のデータを別の場所へ移動する必要が生じる。

これはまるでブロックごとに消去しなければ書込みが出来ないSSDのようではないか。

SMR2.png
現在のSMRは書込み時、複数のトラックとbitをまたいでかなり広範囲が上書きされる

実際新たに読んだ記事では書込み動作についてこのように書かれている。
以下、記事からの引用

「SMRの書き込みは原則としてシーケンシャルな書き込みとなる。 SMRでは何本かのトラックをまとめて「ブロック」として扱い、(中略) このため、SMRにおける書き込みのイメージは、(中略)NANDフラッシュメモリなどと類似のデータ書き込みである。 」

「 従ってSMRのデータ書き換えは、(中略)最初に、書き換え対象ブロックのデータを全て読み出し、データバッファ(通常はDRAMあるいはNANDフラッシュメモリ)に転送する。それからデータバッファの一部を、新しいデータで書き換える。それからデータバッファのデータを全て、SMRのブロックに書き戻す。」

SMR2b.png
SMRでは複数のトラックを一個のブロックとして扱い、書き込みはブロック単位で行う。
ブロック間は上書きが起きないだけのスキマがある


この説明からSMRハードディスクの書込み動作を整理すると

1.書込みブロックの選択
2.ブロック中のデータをバッファに退避(バッファはDRAM or NAND Flash)
3.バッファ中で退避したデータの書換え
4.バッファからデータの書き戻し

大雑把に言えばこんな感じか。
書き込みはブロック単位でしか書込み出来ない、しかもブロック中のデータを一旦バッファに読み込んでその中で書換えを行い、終わればバッファの内容をブロック単位で書き込む。

ブロック単位の書き込みは、先頭から順にブロック内最後のトラックの、最後のセクタまで全部書き込む。まるでブロックが一本のテープであるかのように。

ここまで書込み手順を整理してみると、SSD的とはいえブロック内のデータを退避する点以外はだいぶ違うなあ。タイトルの付け方失敗か。だが他に適当なタイトルが思いつかない。


なんにせよ最初に想像していたのと随分違う印象だ。



ネタ元の記事

10TBの大容量HDDを実現した「SMR技術」登場の背景
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/column/semicon/20150930_723207.html


パソコン用ハードディスク大容量化の歴史 [ハードディスク]

今日のネタはパソコン用ハードディスク大容量化の歴史について。

このネタを書くためにあいまいな記憶を具体的にするための情報集めや言葉では伝えにくい事を表現するための模式図を書くのに時間が・・・で、やっと完成したので投稿。素人の素人による素人のための、いわゆる子供向け絵本的な解説なので、細かい部分で間違いなどがあった場合は軽く流して欲しい。


HDDの歴史といえば、1956年にIBMが世界で初めて開発した「RAMAC」が始まりだ。
直径24インチ(約61cm)のディスク50枚で容量5MBだが、当時は紙テープやパンチカード、或いは磁気テープか磁気ドラムといったシーケンシャルアクセスしか出来ない記録デバイスしかなかったので、ランダムアクセスが可能なハードディスクの登場は画期的だった。
※シーケンシャルアクセスは先頭から順番でしかデータを読み書き出来ない。音楽用テープやビデオテープと同じで、必要なデータの存在する場所にたどり着くまで時間がかかる。ランダムアクセスは一瞬で必要なデータがある場所を読み書き出来る。


それから28年後。
私の知る限り最も古い、そして生涯初めてハードディスクというデバイスを知ったのが、1984年10月に登場した「NEC PC-9801F3(定価\758,000)」に標準搭載されたHDD。SASIインターフェイスでたったの「10MB」しか記録できないハードディスクであった。
以後、数十MBクラスのハードディスクが様々なPCに標準搭載され、また外付けの拡張HDDの販売も始まっていく。

この頃のHDDといえば、容量からもわかる通り記録密度は低く、読み書きヘッドもオーディオ用テープ装置の録音再生ヘッドと同じフェライトにコイルを巻いた構造のリング型ヘッド。磁性体への磁化方向はその後の技術革新まで続く、水平方向の磁化による記録。
このようなシロモノなので初期のハードディスクは信頼性が低くかったが、それでも当時のパソコン用主力記録媒体だったカセットテープやフロッピーディスクよりはるかに速く、大量のデータを処理する用途では貴重なデバイスであった。

Head1.png
原始的な読み書き用磁気ヘッドを持つ初期のハードディスク


このように容量が少なく信頼性も低いハードディスクに転機が訪れたのは、ヤマハがハードディスク用薄膜磁気ヘッドを開発してからだ。※薄膜磁気ヘッドは同時期にIBMも開発している。
ヤマハの薄膜磁気ヘッドはオーディオ用に開発された技術を元にしており、リング型ヘッドよりも小型で高密度な記録が可能。磁力発生の立ち上がりも鋭く(以下資料なく私の勝手な理解と解釈)デジタル信号を高速に記録するのに向いているので、信頼性も格段に向上した。(信頼性が向上したのは事実。)

薄膜ヘッド登場後は容量も100MBを超え、記録密度はどんどん上がっていった。
そして記録密度の上昇によって小さくなった磁石の、弱い磁気信号を読み取るために読取りヘッドが分離される。いわゆる「MRヘッド」というものだ。

MRヘッドはそれまでのコイルに磁界が作用すると電流が流れるという現象(≒発電機)を利用したものではなく、磁界が変化すると電気抵抗値が変化する性質を持つ「MR素子」を利用した読取りヘッド。
この画期的な読取りヘッドのおかげで、当時記録密度を上げるとデータを記録した磁石が小さくなりすぎてデータを読み出せなくなるという、大きな壁を乗り越える事が可能になった。

MRヘッドの量産は1991年からという事なので、私が所有する最も古く、かつ現在でも読み書きできる240MBのハードディスク(ALPS DR312C911AとTEAC SD-3240、共に240MB、購入時期1993年)には採用されていると思われる。

Head2.png
薄膜ヘッドとMRヘッドを採用したハードディスクはそれまで不可能だった高密度記録を可能にした


次に登場したのがGMRヘッド。
記録ヘッドは変わらず薄膜磁気ヘッドだが、記録密度が上がるにつれ弱まる磁力をMRヘッドでは読み取れなくなるために開発された。1998年に登場。
このGMRヘッドのおかげでそれまで当時8GB程度が最高だった3.5inchハードディスクの最大容量が一気に10GBを超え、その後も記録容量を増やしていく。


GMRヘッドの登場から数年後、2001年になるとAFCメディアが実用化される。
これは記録密度の上昇で磁性体の保磁力が不安定になり、一般の使用条件下でも数年内に記録した情報が消えてしまう現象に対抗する技術で、垂直磁気記録が登場するまでの数年間使われた。
AFC_media.png

AFCメディアは記録ヘッドにより磁化される上部磁性層の下に厚さ原子3個分のルテニウム層と、さらにその下に下部磁性層を持つ。この構造でルテニウム層の働きにより、上部磁性層の磁力の影響で下部磁性層には反転した磁化が起きる。この下部磁性層の磁力によって上部磁性層の磁力が相互補完され、同時に磁性層の体積も大きくなるので、磁化方向が維持される仕組みだ。

米IBM、HDDの記憶密度4倍にできる磁気コーティング技術を実用化
http://ascii.jp/elem/000/000/323/323299/


2004年になると垂直磁気記録方式のハードディスクが登場する。
水平方向に磁化させるにはこれ以上記録密度を上げると磁石が小さくなりすぎて、熱で磁力を失ったり自然に磁化が反転したりという現象が生じる。この問題を克服するために必要なのが垂直磁気記録方式だ。

東芝、容量80GBの1.8インチHDDを開発~垂直磁気記録初の製品化
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2004/1214/toshiba.htm

垂直磁気記録は、従来プラッタに対し水平方向に磁化していたものを垂直方向に磁化する。これによりプラッタの磁性膜は記録層の下に軟磁性層というものを持つようになった。
そして垂直方向に伸びた磁石は記録密度を上げても水平方向の時と比べ磁石が大きく、磁力保持力が高い。これで当面は記録密度の向上があっても問題が出ない事になる。

なお、垂直磁気記録の書き込みの場合下図のように磁束密度を変えて書き込む部分以外は磁力の影響が出ないようにしている。

Head3.png
GMRヘッドと垂直磁気記録の組み合わせはハードディスクの記録容量増加を一気に進めた


そして2007年には現在も使われるTMRヘッドが登場。
TMRヘッドはこれまで磁力で抵抗値が変化する事で信号を読み取っていたGMRヘッドと違い、磁力の影響でトンネル効果という物理現象が発生する素子を利用して信号を読み取るヘッド。トンネル効果は普通なら電気が流れない絶縁膜を電子がすりぬけて電気が流れてしまう現象で、USBメモリーやスマートフォンにも記憶素子として入っている、NAND Flashメモリーもこのトンネル効果を利用してデータの読み書きをしているという身近な物理現象だ。

GMRヘッドでも読み取る事が難しくなった小さな磁石からの微弱な磁力を、GMRヘッドよりも大きな信号として取り出せるTMRヘッドは、現在最大10TBにも及ぶ超大容量ハードディスクになくてはならない存在である。
これなくしてテラバイトクラスのハードディスクはありえなかったといっても過言ではない。

だがいつかまた、限界がくるのだろうが・・・


次は現在商品化されている最も新しい技術のSMR(Shingled Magnetic Recording)。
これは先日このブログで記事にしたので詳しい説明は省略するが、要するに瓦のようにスラしながら上から重ね書きしていく事で記憶容量を増やそうという技術である。

これは書き込みヘッドの小型化が限界である場合に使われる技術と思われ、書き込みヘッドが今以上に小さくなっても書き込みに必要な強さの磁力が出せるようになれば廃れる可能性がある。だが今現在最高容量であるSeagateの8TBとHGSTの10TBの容量を持つハードディスクはSMRを採用し、現時点での記録密度の限界を超える手段としている。

10/1追記
SMRについての詳細はこちら
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01


もう一つ、現在実用化されている最新技術を紹介。
それはHGSTのみが持つ“HelioSeal”と呼ばれる、ハードディスク内にヘリウムガスを封入する事でプラッタ枚数を増やす技術。
2015年現在、プラッタ1枚当りの容量は1.2TB前後で頭打ちになっている。理由は記録密度を増やすために書込みヘッドを小さく、或いは書込みする領域を小さく絞らなければならない。すると書込みに必要な磁力が得られにくいのだ。また、書込みがなんとかなっても今度は磁石が小さくなりすぎて磁力保持が難しくなる。
そこで記録密度が上がらないのなら、プラッタ枚数を増してハードディスク1台当りの記録容量を増やそうというわけだ。

最初に採用されたモデルは2013年11月に出荷が開始された6TBモデル「Ultrastar He6」
従来5枚が上限だった3.5inchハードディスクのプラッタ枚数を7枚にまで上げている。プラッタ枚数が増えると空気抵抗が増えるので、消費電力増大やヘッドの動きに支障が出るなどの問題が起きる。そこでハードディスク内の空気を、密度の低いヘリウムガスに変える事で問題をクリアした。

ヘリウムガス充填による空気抵抗低減は効果が大きく、2015年12月に発表された10TBモデルの「Ultrastar He10」に至ってはプラッタ7枚、スピンドル回転数が7200rpmにも関わらずSATAモデルの消費電力が動作中で6.8W、アイドルで5Wと低い。
また、密閉する事で環境耐性が上がり信頼性や寿命延長にもつながっている。これはメーカー保証が5年という長い設定になっている事からも裏付けられている。さらに水没しても問題ないので不導体の冷媒による液冷も可能となり、数百台のハードディスクでディスクアレイを組むときの熱対策も容易になるという副産物も生んでいる。


というわけで、ここからは未来の技術。

最初は最も近い未来(2016年中)に商品化が予定されている熱アシスト記録(Thermally Assisted Magnetic Recording、略してTAMR)。

これは現在の磁石の材料では垂直磁気記録でも、これ以上磁力が消えたり磁化反転を防げないほど微細化を進めないと高密度記録化を進める事が出来ないため、ついに禁断の超強力磁性材料を使わざるを得なくなったための技術である。

強い永久磁石を弱い電磁石で自由に磁力の向きを変える。普通ならば絶対に無理な相談だが、磁石を200℃~300℃くらいまで熱するとこれが可能になる。今までは弱い磁石でハードディスク自身が持つ熱(精々100℃以下)により磁力が消えないようがんばって来たが、この現象を逆手に利用して強力な磁石を200℃以上に熱して無理やり言う事聞かせる、そんな暴力的な技術だ。

ちなみに200~300℃なんて温度まで熱してハードディスクが壊れたりしないのか?と、普通は思うかもしれない。しかし安心して欲しい。温度が上がるのは記録する場所一点のみ。大きさで言えば1mmの数十万分の1くらいなので、仮に自分の手にTAMRで使われるレーザーの光を当てたところで、レーザーが当っている事にすら気付かないだろう。実際ゴマ粒程度の大きさしかないハードディスクの読み書きヘッドに搭載できるレーザーの出力などたかが知れているのだ。

TAMR.png


次はパターンドメディア。
これ自体は以前から実験的に作られていて、現在もその研究が続いている。

次世代ハードディスク向けパターンドメディアの記録・再生に成功
http://pr.fujitsu.com/jp/news/2007/08/9-1.html

パターンドメディアのメリットは、従来のプラッタは細かく砕いた磁石の材料を“糊”と混ぜてプラッタの円盤に塗っていたので粒子が不揃いで、磁石の境界が不規則かつ接触していた。このため磁力の出方が安定せず、かつ隣同士の磁石の影響を受けて読取りの時にノイズが出るなど悪影響を与えていた。

これに対しパターンドメディアはこれらの悪影響が全て取り払われる。
磁石一個一個は独立し、周囲に適度なスキマがあるために隣同士で影響を与えにくい。磁力は安定し、かつ信号を読み出す時も隣の磁石からの影響が少ないのでノイズが少ない信号が得られる。

Media.png

今後はパターンドメディアでなければこれ以上の高密度記録が不可能になるので、登場が待ち遠しい。


最後は多層記録。
これは1枚のディスクに何層も情報を書き込む方法。

東芝、HDDの多層記録技術の実証実験に成功
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150707_710488.html

なんでも書き込みには磁気共鳴とかいう現象を使うらしい。
共鳴の周波数は磁石の材料によって違うので、層ごとに違う材料で磁石を作るのだろう。

だが、今の所読み出す手段はないらしい?
磁力には色がついているわけでもないので、重ねた磁石の板の中からどうやって下の層に書き込まれた磁気を読み取るのだろう。私の頭ではまったく想像できない。


以上、パソコン用ハードディスクの黎明期の1980年代から現在、そして未来まで、記録密度向上の歴史をハードウエアの技術的視点から簡単に書いてみた。
ハードディスクは過去から現在まで、外から見ただけでは何故同じ大きさの箱なのにこれほど記録容量が変化したのか理解出来ないと思う。ただ漠然と記録密度が上がったから、程度の認識しか無かった人は、これだけの記録容量の変化(10MBから10TB、実に100万倍!!)の中でどのような技術的変化があったのか見るのも面白いのではないだろうか。



・2015/12/03追記、AFCメディアとHelioSealに関する記述を追加。



HDDも多層化の時代が来るのか [ハードディスク]

東芝、HDDの多層記録技術の実証実験に成功
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/20150707_710488.html


この記事を読んで驚いた。まさか、HDDが多層記録とは。

一般的に磁性体の円盤を重ねて、重ねられた円盤の磁力がどうなっているのかを一方向だけから読み取る事は不可能に思える。ましてや磁力の層を選択的に、特定部位だけ磁化反転させるなど、一体どうすれば可能なのか想像すら出来なかった。記事を読むまでは。

が、東芝は少なくとも書き込みに関しては、それが可能である事を実証して見せた。


ではどうやって各層の磁性体に書き込むのか、記事の解説は難しいので私なりの理解による説明をすると、磁性体(磁石のこと)は「マイクロ波磁界」というものを当てると共鳴する周波数というものがあり、この共鳴周波数が異なる磁性体を塗布して各層を作る。
そしてこの共鳴周波数の違いによってターゲットとする層を選択し、同時にマイクロ波磁界による共鳴を起こした磁性体は磁化反転に必要な磁力が小さいので、ターゲットとしない層の磁性体に影響が出ない強さの磁力で必要な部分のみの磁化反転をさせる=書き込みが可能となる。

……多分これで大体合っていると思う。


ただ問題は表面以外の層の記録をどうやって読み出すのかという事。
今ですら表面の微弱な磁気を読む事に苦労していると言うのに、それを飛び越えて下の層の磁気をどうやって読み取るのか。
今回の発表は二つの層からなる磁性体で各層を選択的に磁化反転させる事が出来た、という発表なので、読取りが出来たという話は出ていない。

しかし東芝は「2025年頃を目標に3次元磁気記録の実現を目指す」ということなので、読取りの方法もすでに存在するという事だ。
もしこの「多層記録HDD」が出たならば、HDDの記録容量は一気に増えるだろう。
2025年といえば10年後だが、この技術がどうなるのか今からとても楽しみだ。そしてこの技術によるHDDが市販されるのは何時になるのだろうか。とても気になる。


HDDのSMR技術とはなにか [ハードディスク]

最近Seagateから出た容量8TBのハードディスクのニュースが、昨日辺りから各所で掲載されている。
話題となっているのはその価格。
現在一般に入手出来る唯一の8TB HDDはHGSTのUltrastar He8で、価格は円安が進んだ影響で8万円前後となっているが、Seagateの製品は4万円前後と予想されている。

容量当たりの価格が2~6TBの普及品に近い域まで下がっているわけで、これはUltrastar He8のような高コストの技術を使用しない、技術的にも安価な製品であるという事だ。
その8TBという容量を実現しながら普及品の価格になった要因は何かというと、それは“SMR”という技術という事になる。

SMRが採用された製品自体は11月に先行して発売された、Seagateの5TBの製品がある。
プラッタの容量は5TB製品が1.25TB、8TBの製品が1.33TB。
これは一体どういう事なのだろう。
発売時期の近さから、恐らくプラッタそのものは同じモノを使っていると想像するが。
これはあくまで私の想像であるが、SMRを採用した事と関係があるのではないかと思われる。


ではSMRとはどんなものか、考えてみよう。
調べたところSMRは“Shingled Magnetic Recording”の略で、日本語に訳すと「瓦記録」となるらしい。この「瓦」という部分を想像してみると、瓦は互いに少しずらしながら上に重ねて設置される屋根建材であり、SMRも同様に直前に記録したモノの上からずらしつつ重ね書きしていく。
SMR.png
このように図を見ればわかる通り、記録密度は記録ヘッドをどれだけ移動させたかで決まる。
ここでピンと来る人もいるだろう。
そう、記録密度はプラッタとヘッドが同一であっても、ファームウェアのパラメータをちょっと変えるだけで変化させることが可能なのだ。
とはいえこのような方法で記録密度の向上を図るにも磁性膜の物理的限界はあるし、読取りヘッドの性能の限界もある。その限界が1.25TBと1.33TBの差という事なのだろう。


というわけで、主に私の理解の及ぶ範囲と想像でSMR技術について書いてみた。
なのでSeagateの5TB及び8TBの両製品において、実際にはプラッタもヘッドも専用に調整されたものが使われている可能性もあるが、SMRのイメージについて間違いは書いていない。
ちなみにSMRを用いた製品はこれら以外にもHGSTの10TB製品であるUltrastar Ha10があるという。
あれもSMR使っていたのか。

2015/10/01追記
SMRについてさらに詳細な記事を書いたので、興味のある方はこちらも読んでみてください。
SMRのSSD的書込み挙動
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-10-01

また、SMR以外の技術について興味がある方はこちらを参照。
パソコン用ハードディスク大容量化の歴史
https://17inch.blog.so-net.ne.jp/2015-09-28


さて、他にHDDの記録密度向上の技術は今私の知る限り、熱アシスト記録(HAMR)とパターンドメディアがある。
こちらは何時くらいに来るのだろうか。

HAMRについては10月にTDKからの発表があったばかりで、製品化は2016年内が目処となっている。

パターンドメディアはまだ研究段階なのか?
少し調べた程度だが、HGSTと東芝、他に大学等の発表した記事がいくつか見つかった。
パターンドメディアとは、現在の不揃いな大きさの磁性体を不規則に敷き詰めたプラッタに対して、大きさを揃えた磁性体を規則正しく並べたプラッタの事で、これによって磁束の密度や強度が安定するために記録密度を上げる事が出来る。イメージとしては砂利道に対してタイル敷きの道という感じか。
しかし一桁ナノメートル(東芝の資料では直径8nm)の磁性体を規則正しく並べるという技術が、私には想像できない。自己組織化配列制御とかなんとかいう技術があるらしいが・・・

それに資料を読むとガラス円盤にミゾを彫ったりするらしいが、10ナノメートル幅のミゾを同心円上に彫ってヘッドをそれに追従させるとか正気の沙汰ではない。

どれだけ高精度にプラッタの円盤をスピンドルモーターの軸に固定したとしても、回転軸のブレは最低でも千分の一ミリ台で必ず発生するからだ。ナノメートルは千分の一ミリのさらに千分の一だから、仮にブレが千分の一ミリだったとしてもガラス基板に刻んだミゾを軽く100個以上またいで振動しているわけで、しかもそれは熱や振動等の影響で方向も振動幅もかなり不規則に発生する。このブレは当然面方向だけでなく軸方向のブレも存在し、プラッタは常に360度のどちらかの方向へ傾き、その方向を複雑に変えながら回転している。
つまりナノメートルの視点で見れば、回転が落ちて棒から落ちる寸前の皿回しの皿のように、回転方向だけでなく軸方向にも不規則にぐわんぐわんと揺れがらプラッタは回転しているのだ。
まあそれを言ったら今現在のハードディスクだって、回転のブレに対応する技術が無ければ使い物にならないのだが。

しかしこういう事を考えるとハードディスクというのは如何にハイテクなのかがよくわかる。
話がだいぶ逸れてしまったが、今日はこの辺で終わろう。


ハードディスクが壊れた [ハードディスク]

今日、突然、仕事で使っているパソコンのデータ保存専用に使っているハードディスクの、一部フォルダやファイルにいきなりアクセス出来なくなった。

何かと思ってSMART情報を見るとファイルシステムではなくディスクのセクターが一部破壊されているようだった。

Diskinfo.png

幸いにも数日前にバックアップを取ったばかりで、復旧出来なかったファイルは3つのみ。
その3つも消えたところでそれほど困るものではなかったために事実上被害はゼロだった。
強いていえば4年程度使ったハードディスクを交換する羽目になったくらいか。

私はこんな事もあろうかと予備のハードディスクも用意しているので、先ほど全ての復旧が終わったところだ。備えあれば憂いなしである。

さて、明日にでも消費した予備のハードディスクを注文するか。
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